1378◆ドラマの中のルッキズムを考える~ #きれいのくに #ブラックシンデレラ ~ #週刊ドラマ語り

ドラマの感想や考察、ドラマをきっかけに思ったことを語ります。今回はミスコンなどで表出しがちな「容姿の美醜で評価、差別や優遇をする」ルッキズムとドラマについて考えます。

参照:
ルッキズム – Wikipedia
ルッキズムとは何か?(1)外見による差別、機会・評価への影響 | The HEADLINE

◆きれいのくに
2021年4月12日スタート 毎週月曜夜10:45/NHK総合
加藤拓也のオリジナル脚本。容姿へのコンプレックスを抱える高校生たちが暮らす、ほとんどの大人が“同じ顔”をした国を舞台に、リアルと虚構が入り交じる“青春ダークファンタジー”。出演は、吉田羊、蓮佛美沙子、平原テツ、小野花梨、橋本淳、加藤ローサ、青木柚、見上愛、岡本夏美、山脇辰哉、秋元龍太朗、稲垣吾郎。
https://www.nhk.jp/p/ts/M8Q721V51L/
→1話~3話にかけて描かれた教則ドラマは何が教則なのか。何を伝えたかったのか
→多くの人が稲垣吾郎と加藤ローサの顔になる世界は何を比喩するのか
→「きれいのくに」は現実世界における何を指すのか
→最後、誠也と凛は何を思ったのか
→このドラマの先で日本におけるルッキズムをどうしたかったのか。

参照:
『きれいのくに』のディストピア──ルッキズムが支配する“きれいのくに”で若者は自意識をこじらせる(松谷創一郎) – 個人 – Yahoo!ニュース 
きれいのくに | ドラマスタッフブログ|NHKドラマ 
難解!攻めすぎ!?よるドラ『きれいのくに』プロデューサーの狙い(FRIDAY) – Yahoo!ニュース 

◆ブラックシンデレラ
2021年4月22日スタート 毎週木曜夜10:00/ABEMA SPECIAL
莉子、神尾楓珠、板垣瑞生、愛花が出演するABEMAオリジナルの学園ラブストーリー。ルッキズムを題材に“本当の美しさ”とは何かを問う。舞台は、学園一の美男美女を決めるミスコンテストが行われている清蘭学園。莉子演じる平凡な主人公はミスコンを通じて、神尾演じるナルシストな完璧イケメンと出会う。
https://abema.tv/video/title/90-1499
参照:
【映画と仕事 vol.7】「ブラックシンデレラ」脚本家・吉田恵里香 AbemaTVでルッキズムをあえて描くワケ | cinemacafe.net 

★見た目のことで揺れ続ける私とドラマで思うルッキズム

若いころはなぜだか外見を気にしていた。ろくに鏡を見ずにああ酷いもう駄目だ思い込んだり、無駄に自信を持ったり、不真面目に悩んでいたと思う。一方で人の好き嫌いにもキレイキタナイを多少なりとも気にしていたと思う。それは差別でなく「区別」だと思ってはいる。いるけれど、個人的関係においては差別的なふるまいをしたことは多分否めない。大人になると、人に対して優越できる立場でなかったことが、多分幸いして、いやむしろ忌避される側に立って楽をしていたかもしれない。

ルッキズム・・・人を容姿の美醜によって評価し、差別や優遇をする考え方を指す。昨今では、容姿を主な評価基準とするミスコンテストが廃止されたり、ユニークフェイス(固有の顔)の当事者によって差別撤廃運動が行われたりしている。https://media.lifull.com/stories/20210527138/

とある本で、「おばあちゃんが言ってくれるかわいい」と「クラスの異性が評価するかわいい」は違う、と書かれていた。評価や差別が良くないというのもわかる。しかし美醜ってなんなのか。シンメトリーな顔だとか、目が大きい二重、筋の通った鼻、肌が白い黒い。笑顔がいいとか無表情が魅力だとか。誰のおかげかわからないが多少は美しいイメージはあると思う。「自分の望む容姿を目指すことはいいこと」という意見もしばしば聞く。人に押し付けない意味でははいいと思うけれど、美醜の基準にまったく型がない、というのもあまりに未来的な気がする。いや待ってくれ。もしかしてもう僕らは未来に来ているのか。

テレビドラマにおいては、芸能界の競争原理の中からきれいな人を出したい出たいという意向が出演者を定めていたり、きれいなものを見たい視聴者の意向(ほんとか?)を受け入れていたりするのかもしれない。それを乗り越えた人たちによる、自分を好きになるドラマと言われても、随分とメタ的な視点が要求される(この辺のリテラシーは多くの人がわかっているとは思うのだけれど)。つまり本音と建て前という構造から逃れられないのだろうか。違う。本音と本音でバランスを取ることが重要なのではないか。キレイを望む気持ちも本音だけど、見た目での評価や差別優遇を無くしたいことも本音。バランスというのは面倒で、基準線を一本引いて楽したい人にとっては手間だと思うけれど、原理原則だけでない魅惑のキレイ(この言葉がややこしい)は画一的なものでないと思いたい。だから幅のある人間たちがキャスティングされるのが、僕はいいと思う。

「自分のためにキレイになる。努力している人は素晴らしい。そう、それもいい」と切り離しにくいのが、自分がどこかでキレイを志向してしまう(見る側であり自身であり)からなのだろう。
まとめられないので、私はときどきの思い付きでもうしばらくバランスとりながらやっていこうと思う。(ポン)

【最近のドラマでルッキズム的に気になることメモ(ポン)】
◆『リコカツ』
⇒顔だけと言われる北川景子をキャスティング。もうちょいその視点を入れて欲しい。
◆『珈琲いかがでしょう』
⇒イケメンってなんだ。異世界の人に思えるのだけど、造作が良いと時空がゆがむのだろうか。
◆『ガールガンレディ』
⇒「美少女が登場」。つまり記号として見られる楽さを望んでいるのかもしれない。
◆『レンアイ漫画家』
⇒差別とは言わないが、吉岡さんが、かわいい以外で魅力的に見えない気がします。
◆あのときキスしておけば
⇒アラタはおじさんなのか。って疑問は、僕の差別なのか。

◆『凪のお暇』
⇒「キレイはだれのもの」問題。「ルッキズムを上手に運用女子」問題。「世界が美人に弱過ぎ」問題。「結果美人が仕事やりつらい」問題など多数勃発。
◆『その女、ジルバ』
⇒40過ぎのおばさんなんて、趣味の問題だとするなら、誰が大きい声でそれを言っているのだろう。
◆『恋はつづくよどこまでも』
⇒現実を受けれられない私は、一目ぼれ、イケメン、ツンデレなどで躓いたままになりがち。
◆『来世ではちゃんとします』
⇒もしかしたらセフレって概念は、ルッキズムを道具として扱っている稀有な例なのでは。
◆『やすらぎの刻~道』
⇒ルッキズムがぶっ壊れた世界。そうかこれが理想の未来なのかもしれない。
◆『映像研には手を出すな!』
⇒このキャスティングだよ!アイドルによるキャスティング寡占状況をなんとかできないか!(応援したい人を集めるには仕方がないとか。その範囲の中ではベストキャスティングとか)
◆『だから私はメイクする』
⇒「メイクって自分のため」現世を肯定する人にとってはとても重要だ。私も学びたい
◆『あのコの夢を見たんです。』
⇒妄想恋愛の相手って自由だけど、具体にした瞬間……。女優という存在は既に妄想なのかも。
◆『伊藤くん A to E』
⇒夏帆がイケてない女の子という設定を飲む位、全然できますよ。ふう。

【参考】
なりたい顔ランキング
少女マンガのブサイク女子考 著者:トミヤマユキコ

以上、

週末の配信回「タネメガネ」では収録後、気が付いたこと、更に考えたことなど「顧み話」もしてます。よければそちらもお聴きください。
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