1301◆『その女、ジルバ』をきっかけに。高齢化社会に高齢者が活躍するドラマを考える。 #週刊ドラマ語り

毎週、ドラマの感想や考察、ドラマをきっかけに思ったことを語ります。今回はドラマ『その女、ジルバ』をきっかけに、高齢者が主役となるようなドラマについて考えます。

<紹介ドラマ>
◆『その女、ジルバ』
夢も、仕事も、結婚も…人生を諦めかけていた彼女が、扉の向こうで掴んだものは!?「第23回手塚治虫文化賞マンガ大賞」受賞の話題作『その女、ジルバ』遂にドラマ化! 出演:池脇千鶴、江口のりこ、真飛聖、山崎樹範、中尾ミエ、久本雅美、草村礼子、中田喜子、品川徹、草笛光子ほか
フジテレビ/2021年1月9日~、毎週土曜よる11時40分
https://www.tokai-tv.com/jitterbug/

◆ドラマ『その女、ジルバ』オレンジ感想
・懐かしくも最先端(多様性、コロナ禍)の物語。
・親を持つ人と持たない人、結婚する人としない人、子どもを持つ人と持たない人、それぞれの幸せが描かれる(子ども食堂で子供に関わる人)
・偏愛を主人公とする感動
・故郷(ホーム)を失った人たちの集まり
・ホームが無くなる時代の残り香
・継承の物語
・NHKしかやらなかった歴史をちゃんと描くこと
・スナック、キャバレー、バーの価値をコロナ禍の今に問い直す(別世界)
・ただ踊る、楽しく語らう、フラットに
・誰しもが未来像としてある高齢の希望
・誰から見るかで年齢の位置は変わる
・40で始めても何も遅くはない
・優しい世界と厳しい現実
・福島の歴史も混ざってくる。
・かつてのブラジル移民としての福島と震災後の福島を重ねる。
・弟の話とジルバの話と。
・ブラック企業と戦時の軍隊(マスター)と。
・パワハラも解雇もやりたくてやってる訳ではないという設定。仕組みの問題。
・誰にも話せないこと。孤独な育ちゆえの頼れなさ。
・歴史には埋もれてしまう普通の人たちの物語。誰にも物語がある。群像劇全員の背景が描かれる。
・一人一人の確かな変化や成長が描かれる。
・男女の、年齢の垣根を超えた交流。多様性の時代のドラマ。
・男女が別れた後も店を続ける物語。
・敢えて他のドラマや映画と違う役のイメージ。ヤマシゲも水澤慎吾も江口のりこも品川徹も。
・ブラジル移民の勝ち組(戦争に勝ったと思い込んだ人々)と負け組の対立の話を今の時代に重ねて。フェイクニュースは繰り返す。
・雨が降ろうが槍が降ろうが店は開ける。それがジャックアンドローズ。
・ジャックアンドローズはゴールドでなくちゃいけない。
・暴いて良いのよ。死者の残した形あるものは暴かれる。生きてる者は手を汚すの。そうでないと死者の心残りを遂げてあげられないでしょ。
・戦後の花売り(体売り)を描く。
・しっかりとコロナ禍の現実(バー営業の難しさ)を描いた。
・子どもの誕生を希望として描く
・高齢者を主役とすること。高齢化の時代に。
・ドラマにおける高齢者のテンプレ化の解放とやりたい役への起用
・高齢者は存在だけで歴史が宿る。

◆ドラマ『その女、ジルバ』ポン感想
最終回、池脇千鶴さんは伝説のママ、ジルバの面影が浮かび(二役なので当然ではあるが)おおらかな母の様な姿で作品全体や出演者たちをつなげていくのが凄い。同回では、出産をZOOMを介して皆で覗き込むシーンがよかった。そうかネットならこういうこともできる。
ドラマで高齢者を描くとき、ファンタジーみたいな下町か、老人ホームか、自宅で疎まれるか、バリエーションが狭い感じがするが、いっぽう本作は皆働いている。色んな年齢と交わっている熟人をさりげなく描くには、現実もろとも変えていくような力強い世界を描く必要があるのもしれない。
中田喜子の面倒くささ、久本雅美さんの自己完結する感じ、など一見古臭い演技スタイルをとても意味深く見ることができた。演技みたいな人、いるんだよね。その視点を受け入れた後は、福島、移民など大きなテーマを身近なものとして格納が自由自在になる。本物「池脇千鶴」さんに引き付けられてから始まった、目から鱗な作品でした。

◆近年の高齢者が主役のドラマ
・やすらぎの郷(テレビ朝日)
・やすらぎの刻~道(テレビ朝日)
・三匹のおっさん(テレビ東京)
・すぐ死ぬんだから(NHK)
・70才、初めて産みますセブンティウイザン。(NHK)

・天使にリクエストを~人生最後の願い~(NHK)
・任侠ヘルパー(フジテレビ)
・渡る世間は鬼ばかり

・最高の離婚 ※八千草薫さんが印象的
・モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~ ※橋爪功がモコミに共感

◆ 高齢者が主役のドラマのポイント
・多世代の交流
・若者も観たくなるドラマに
・歳を重ねることに希望をもたせる
・典型的な高齢者描写を防ぐ
・史実をベースに置く

◆気になること
・高齢化の今、高齢者として扱わない方がいい?
・年齢は気にしないといいつつ、老いは隠せないものだ
・混ざりあう事の違和感
・年食った人がイメージの役は変わっていくのか
・老人らしい老人役者(菅井きん、笠智衆 浜村純)

◆ 高齢者が主役のドラマ企画案
・シェアハウス型老人ホーム
・高校に隣接する老人ホーム
・大型商業施設に集う高齢者たちの話
・高齢者たちも通う学校(夜間)
・熟年離婚に至るまでの1ヶ月
・定年後のコミュニティ

◆データ
・65歳以上高齢者、2020年は3617万人・総人口の28.7%で、過去最高の更新続く―総務省
https://gemmed.ghc-j.com/?p=36131
・65歳以上の6人に1人が認知症患者(生命保険文化センター)
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/nursing/15.html
・役者の年齢:
伊東四朗は83歳 浅丘ルリ子80歳、橋爪 功は79歳、石坂浩二79歳、小日向文雄67歳 竹下景子は67歳、水谷豊は68歳 遠藤憲一59歳 松重豊58歳

 

以上、

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